2018年4月2日月曜日

たかちゃんの、鳥さんこんにちは



このたびは、YILハイパーブックレット-ヴィジュアルアーカイブ-「たかちゃんの、鳥さんこんにちは」をお買い上げいただきまして、誠にありがとうございます。

ここでは、ブックレットでは説明しきれなかったことや、訂正、追加情報などを提供させていただきます。どうぞご利用くださいませ。



補足

露出
写真の露出は、シャッター速度(光をあてる時間)、絞り(レンズを通す光の量)、ISO感度(光に対する敏感度)の組み合わせで決まります。すべてマニュアルで人が決めることもできますが、馴れないと難しいので、最初はこの中の1つをマニュアルで人が決め、後は適正露出となるようにカメラのオート機能を使うのが一般的です。
写真家にすすめられた方法は、絞りを人が決め、シャッター速度と感度はカメラのオート機能にまかせる方法です。

露出モード
多くのカメラには、P、S、A、Mと表記された4種類の露出モードがあります。それぞれの意味は、次の通りです。
P:プログラムオート:シャッター速度と絞りをカメラに任せる
S:シャッター優先オート:シャッター速度を人が決定し、絞りをカメラに任せる
A:絞り優先オート:絞りを人が決定し、シャッター速度をカメラに任せる
M:マニュアル:シャッター速度と絞りは人が決める

フィルムの時代はそれで露出が決まりましたが、デジタルの時代になって、感度も自由に設定できたり、自動でカメラに任せることができるようになりました。そのため、より自由度が増えましたが、感度が上がると画質が落ちるので、基本的には可能な限り低感度で使うようにします。
レンズの解像度を引き出したり、被写界深度(前後にピントが合う範囲)をコントロールするためには、絞り優先オート(A)が適しています。初心者にも一番わかりやすいと思います。絞りを決めるとカメラが適正露出となるように自動でシャッター速度を決めてくれます。絞りを絞る(光の量を減らす)とシャッター速度が連動して遅く(光を当てる時間を増やす)なり、ブレが発生しやすくなります。その際、感度もオートにしておくと、自動的にISOを上げて、ブレが発生しないシャッター速度を維持することができます。
200-500㎜は開放(F5.6)からシャープですが、多少絞った方がよりシャープになり、コントラストも上がるので、日中明るい状況ではF8付近を多用しています。夕方や暗い状況でISO感度が上がり過ぎてしまう場合は開放のF5.6で使っています。日中の撮影では、そのくらいの絞りで使えばシャッター速度も適度に速く、極端に感度が上がり過ぎてしまうこともないでしょう。
 
測光方式
画面上のどの点の露出を測るかによって適正露出は変わります。計り方には、平均測光、中央重点測光、スポット測光、分割測光など、様々な測光モードがありますが、それぞれに一長一短があり、撮りたいものに常に最適になるモードは未だに存在していません。最初は、まずは一番問題が少ないであろう分割測光を使ってみましょう。分割測光は画面を何分割かに分けてそれぞれのエリアで極端に白飛びしたり黒つぶれしないようにカメラが自動で調整するモードです。ただし、状況によっては外れることもありますし、露出補正がしにくいモードでもあります。色々と試してみて、自分に合ったモードを探してみてください。
 
露出補正
上記のどのようなモードで撮っても、鳥が真っ黒に写ってしまったり、白が飛んでしまうことがあります。これはどんなに高性能なカメラを使っても起きる問題です。カメラは、人が何を撮ろうとしているか分からないからです。
たとえば、ヒヨドリの体はグレーですが、黒い地面に佇むヒヨドリは白く写り、明るい空を背景に飛ぶヒヨドリを写すと真っ黒に写ります。カメラはヒヨドリの色を知らないので、背景が暗いと明るく写そうとし、背景が明るいと暗く写そうとします。
そういう時は、露出補正をします。背景が空や明るい水面など、撮りたい被写体よりもバックが明るい場合はプラス側、背景が暗い葉や土など、撮りたい被写体よりも背景が暗い場合はマイナス側に露出補正します。露出補正ボタンを押しながらダイアルを回せば簡単に変えられます。
デジタルカメラは撮った画像をすぐに確認できるので、最初は画像を見て補正量を調整すると良いでしょう。馴れてくると感覚的にわかるようになります。

フォーカス
フォーカスモード
カメラのオートフォーカスに100%頼って良いでしょう。オートフォーカスは、シャッターを半押ししてピントが合えばそこで固定されるシングルモード(以下AF-S)と、半押ししている間、常にピントを合わせ続けるコンティニアスモード(以下AF-C)があります。前者は止まっている鳥、後者は動いている鳥に有利です。
鳥は常に動いているので、AF-Cが有利に思われますが、枝の間の鳥などを写す場合、AF-Cだとカメラがちょっとずれるだけで手前の枝にピントが合ってしまったり、背景に合ってしまったりするため、一長一短です。馴れや、AFのための測距点の切り替えなどにもよりますが、個人的には枝に止まった鳥を撮ることが多いため、基本はAF-Sで使っています。飛ぶ鳥を狙う時のみAF-Cにしています。

フォーカスポイント
最近のカメラは1点だけではなく、多数のフォーカスポイントを持ち、位置も変えられるようになっています。オートエリアAFや複数のフォーカスポイントを使うダイナミックAFは、風景や人物撮影などでは問題ありませんが、野鳥は枝などの障害物に囲まれていることが多いため、フォーカスポイントが多いと手前の枝や障害物にピントが合ってしまうことが多く、肝心の鳥にピントが来ないこともあります。中央一点のシングルポイントが意外と鳥への合焦率が高いこともあります。一方、空を飛ぶ鳥など、周りに障害物がない場合はオートエリアAFの方が良い場合もあります。状況に応じて試してみることをお勧めします。
どうしてもオートフォーカスでピントが合わない場合は、ピントリングを回してマニュアルでピントを合わせます。最近のレンズはオートフォーカスのモードでも常時マニュアルでピント合わせができるようになっています。

その他の設定
ホワイトバランスや色彩のモード、ノイズリダクションなど、カメラ任せで問題ないものは初期設定のまま使っています。よりきれいに撮るために様々なセッティングがあると思いますが、先ずはそのまま使ってみて、馴れてきてから不満点を解決するための調整を行うと良いでしょう。

フィールドに出よう
自分もそうでしたが、最初は皆さん野鳥がなかなか見えないようです。これから野鳥観察や撮影をはじめる方々に強くおすすめするのが、一度野鳥の専門家とフィールドに出ることです。各地で野鳥観察会などが開催されていますが、そういった会に参加すると、野鳥の探し方が分かってきます。専門家は、そのフィールドに馴れているということもありますが、それよりも探し方を知っているのです。彼らは目だけではなく、五感を研ぎ澄まし、どんな場所でも野鳥がいそうな場所を割りだします。中でも聴覚は最大のアンテナで、耳で発見して目で確認しています。そういったノウハウを少しでも伝授してもらうだけで、その後の見え方がぐっと違ってくることでしょう。

撮影
写真家からアドバイスされたのは、とにかく撮ることです。撮り過ぎて後悔することはありませんが、撮らないと必ず後悔します。たとえ失敗でも、画像があれば何が悪かったのか、後で分析できます。野鳥は一瞬が勝負なので、見つけた瞬間から撮影すると良いでしょう。余裕ができたら画像を確認して、露出を補正したり、構図を変えて撮ってみてください。


あとがき

本当に以前は鳥にまったくと言ってよいほど興味はありませんでした。もちろん、生き物は全般的に好きで、物心ついたころから犬はずっと家族の一員でしたし、結婚してからも熱帯魚、両生類、爬虫類と暮してきました。
野鳥に出会う前に、鳥が大好きになった最初のきっかけは文鳥との出会いです。ある日、わが家に文鳥の雛がやってきました。まだ羽も生えてなく、さし餌が必要な白文鳥の雛です。それまでは鳥に触れたこともなく、はじめての経験でした。
3時間毎にさし餌をして育てた文鳥は異常なほど人によく馴れ、家の中では常にくっついてきます。人間側も文鳥なしには生きて行けないほど文鳥の存在が大きくなってしまいました。野鳥への興味は文鳥への愛情が原点になっていると思います。
知り合いの写真家が大学でK博士と出会い、鳥の写真を撮り始めたのも丁度そのころです。K博士と写真家に誘われて野鳥観察をするうちに、どんどんとはまってしまいました。純粋に、綺麗、可愛い、と思えますし、鳥の世界の奥深さにどんどん魅了されてしまいました。きっかけは何であれ、皆さんも野鳥と出会い、知れば知るほど魅了されていることと思います。あまりに懐が深いので、「すべての鳥を見つくしたので飽きた」とか、「もう撮るべき野鳥の写真はなくなった」と言う人はいないでしょう。野鳥との付き合いは、観察にしろ、撮影にしろ、一生の趣味になり得る素晴らしい世界だと信じています。
趣味としての野鳥撮影で良いことは、運動にもなることです。私も高齢者になりつつある年齢ですが、野鳥を趣味としている場合は必ずフィールドに出なくてはなりません。フィールドによっては高低差もあり、少なくてもちょっとしたハイキング程度の運動量になります。カメラも腕を鍛える鉄アレイだと思えば丁度良い重さです。私も野鳥撮影をはじめてから毎週10㎞前後歩くようになりました。しかも、樹木が多い場所では森林浴ができ、川がある場所ではマイナスイオンを浴びながらの運動ですから、体に良いことばかりです。さらに五感を研ぎ澄まし、図鑑やインターネットで調べたりするので、ボケ防止にもうってつけです。
皆様も正しく野鳥の世界にはまられることを祈っております。

謝辞

野鳥の世界にいざなっていただいた日本獣医生命科学大学の名誉教授でいらっしゃる梶ヶ谷博先生に深く感謝を申し上げます。様々なフィールドにお連れいただき、野鳥の講義をお聞きしたのが野鳥にはまるきっかけでした。
梶ヶ谷先生と知り合って、最初に野鳥にはまったのは夫で写真家の山内昭です。そして私に野鳥の魅力と撮影技術を伝授してくれたことに感謝しています。
二人の影響がなかったら、私は生涯、この素晴らしい野鳥の世界を知らずに過ごしていたことでしょう。発見する喜びや、撮影する喜び、知る喜びを与えてくださり、ありがとうございました。
最後に、文鳥のジャスミンにも感謝。